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いけ!という命令にNO!盲導犬の訓練「不服従訓練」とは?

盲導犬の訓練の一つに「不服従訓練」というのがあります。
この不服従というのは、たとえばパートナーである目の不自由な人と道を歩いている時、パートナーが車が来ているのに気が付かないで横断歩道を渡ろうとするとします。

パートナーは「ゴー」と号令をかけるのですが、盲導犬が今は渡るのは危険と判断してパートナーを渡らせないようにするのです。

これを不服従と言います。
パートナーの命令に背いて盲導犬の判断で危険を知らせることをこう呼びます。


この訓練は盲導犬にとって一番と言ってもいいほどとても難しいもので、いつもだったらパートナーの命令を受けて行動するのですが、この場合だけは違います。
犬自身が身を持って危険を知って初めてわかるようになるのです。
失敗して初めてわかると言ったらいいのでしょうか。

ちょっと手荒な訓練方法ですが、訓練の一つにこんなことを行うことがあります。

パートナー役とは別の訓練士が運転している車で、歩行訓練している盲導犬と目の不自由な人の役の訓練士のところに突っ込んでいきます。
目の不自由な人の役の訓練士は「ゴー」と支持をだし、盲導犬はそれにしたがって素直に車道に出ます。
すると、先ほどの車が突っ込んでくるのです!
大きなブレーキ音、クラクションの音、目の不自由な人の役の訓練士の悲鳴、時には車がぶつかったと思わせるために盲導犬の体を訓練士がたたいたりします。

訓練とはいえ実際のシーンに合わせたものなので、見ているこちらもドキッとしますよね。
まるで事故のワンシーンを見ているようです。

こういった実際の訓練で、車が来ているのに道を渡るのは危険だということを盲導犬自身に教え込むのです。
まさに身をもって知るということですね。

言葉で教えることはできませんが、自分の体で覚えたことは盲導犬にもわかります。
小さい子供と一緒ですね。
失敗は成功の元。

自分自身で身を守ることを覚えられれば自分もパートナーも危険が減ります。
盲導犬は自分で考えて、今は命令を聞かないほうが安全だ!と判断する。そんなこともできるのです。